大正12年(1923年)に仙台市の水道事業が給水を開始してから、今年の3月31日で100年になりました。仙台市の水道の特徴として、電力使用が少なく環境にやさしい水道システムであると言われています。
全体の80%を「自然流下」で配水しており、配水量1立方メートルの電力使用量は大都市平均の2分の1以下となっています。仙台市の上下水道のキーワードは「自然流下」です。
東日本大震災時、仙台市の約7割を受け持っている南蒲生浄化センターは、津波で壊滅的な被害が生じましたが、この処理区域の汚水排水システムは、震災後一日も休まず機能しました。汚水は自然流下により南蒲生浄化センターまで到達し、暫定的に塩素殺菌した後、海に流すことが出来ました。自然流下の下水道システムが震災直後の仙台市民の生活を救ったのです。これは400年以上前の歴史の遺産でもあります。
1601年、伊達政宗公は仙台の地を選び、城下町を建設しました。政宗公の選んだ仙台の地形は、現在の都市計画から見ても、際立った条件を備えています。仙台の街は広瀬川が形成した河岸段丘の上に作られています。この仙台の地形によって、上水も下水も自然流下のシステムが可能となっています。
政宗公は、城下町の用水排水路を確保するため、家臣に「四ツ谷用水」の造成を命じました。四ツ谷用水は広瀬川の郷六の堰で取水し、城下町に自然流下の水路網を張り巡らせました。政宗公は極めて優れた都市計画課であり、現在の我々は、その恩恵に浴していると言えます。
話を水道事業に戻しますが、エネルギー消費型社会にあって、仙台市の水道は、持続可能な水道システムと言えます。政宗公の遺産を活かし、様々な課題を乗り越え、持続可能な水道事業として次の時代に引き継いでいくのが、現代に生きる我々の責務です。