スピード社会とスローな視点 (ゆーとぴあ平成15年8月号掲載)
皆様のご支援をいただき、5月より議員としてスタートを切りました。常任委員会は「健康福祉委員会」、特別委員会が「地域経済活性化調査特別委員会」です。新鮮でもあり、不慣れなことの連続ですが、県庁での行政経験を生かして市政の課題に取り組んでまいります。
さて、仙台市政に関わってみて、思っていた以上に市の意気込みを感じたのが、新産業創出などの経済対策です。この4月に仙台市の「国際知的産業特区」が国の構造改革特区に認定されました。仙台市の計画は、規制緩和を実施し、健康、情報、環境、ナノ・材料の四分野の研究開発を推進し、新しい産業を生み出そうとするものです。
国内産業の空洞化、激化する都市間競争のなか、世界でも最先端の研究開発力を誇る東北大学と連携し、仙台の地に新産業を誕生させ、新たな生産や雇用を作り出すものです。
仙台市は、最近、産学官連携による新施策を次々と打ち出しています。経済対策のポイントはタイミングとスピードです。注目していきたいと思います。
ところで、最近、スローフードとかスローライフという言葉を耳にします。スローフードは、1980年代の後半イタリアに起こり、アメリカのファーストフードに対しての反対運動として世界に広がったものです。日本では、BSE(狂牛病)の問題や食品会社の表示偽装の問題があったこともあり、消費者の食への不安と安全志向が重なってスローフード運動が広がってきました。
さらに、マイペースでゆっくりと暮らすスローライフの主張も生まれてきました。20世紀後半の日本が、早いもの勝ちとか効率性を追求しすぎて、人間性喪失や環境汚染をもたらしたことを考えたとき、21世紀は急ぐ社会から、物と心を大切にする急がない社会に移行して、ゆっくり、ゆったり、豊かな心でというのが、スローライフの主張です。
昔から人間の知恵として、緩急自在とか急がば回れということが言われてきました。スピード社会においてこそ、スローな視点を大事にしていく必要があります。
仙台市の行政改革や経済対策にはスピードを求めつつ、教育、福祉、環境などの分野においては、スローな視点を大事にし、市政に参画していきたいと思います。皆様のご指導をお願い申し上げます。